認知症とは病名ではなく、病的な物忘れや理解・判断力を示す症状の総称です。認知症を引き起こす疾患は多岐に及びますが、代表的なものは以下の4つが挙げられます。
<アルツハイマー型認知症>
異常が起こりやすい箇所:海馬、頭頂葉を含む後方領域
●記憶を司る海馬(かいば)を中心に、頭頂葉(とうちょうよう)まで。広範囲で脳が萎縮することによって起こります。
●主に記憶障害や見当識(日付や時間、場所などを認識する機能)障害、判断力の低下などの症状が現れます。
<前頭側頭型(ぜんとうそくとうがた)認知症>
異常が起こりやすい箇所:前頭葉、側頭葉
●人格を司る前頭葉(ぜんとうよう)と、言語を司る側頭葉(そくとうよう)が萎縮することによって起こります。
●人格が変化して思いのままに行動しようとする、言葉の理解ができなくなる、などの症状が現れます。
<レビー小体型認知症>
異常が起こりやすい箇所:海馬、後頭葉
●記憶を司る海馬から、視覚を司る後頭葉(こうとうよう)までの広範囲で血流が悪くなり、機能が低下することによって起こります。
●初期症状に幻視を訴えることが多く、睡眠障害が初発症状となることが多い。
<脳血管性認知症>
異常が起こりやすい箇所:脳血管(全体)
●脳梗塞や脳出血など、脳内の血管に異常が起こることによって起こります。
●脳梗塞を多発した方が発症するケースが最も多く、脳血管障害の大きさが認知症の程度と関係してきます。
※脳血管性認知症は、脳血管の異常によって起こる認知症の総称です。
当院の認知症の治療
◆薬物療法
現存の薬物治療では、失われた認知機能を改善することはできませんが、進行を遅らせることは可能です。記憶力、理解・判断力の低下などの中核症状に対しては、数種類の抗認知症薬があります。
それ以外に、認知機能に伴い二次的に生じるうつ状態、イライラ、不安・焦燥などの精神症状に対しては、高齢者特有の身体機能の低下や、多剤併用のリスクを考慮しながら、向精神薬や漢方薬を少量から開始することもできます。
◆非薬物療法
薬物療法以外に、作業療法や社交の場での会話や運動を通して、残存機能が維持されます。こうしたリハビリテーションを取り入れることで、認知症を発症したあとでも、現状の社会・生活機能をより長く保つことができます。
介護保険の意見書等で、上記のような介護サービスの導入を支援いたします。